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ヒューマンデザイン・アナリスト 市川丈夫のBlog

アビ・ヴァールブルク「異教的ルネサンス」

異教的ルネサンス (ちくま学芸文庫)

異教的ルネサンス (ちくま学芸文庫)

 

先日の古本フリマで購入したのが、ドイツの美術史家、アビ・ヴァールブルクの「異教的ルネサンス」(ちくま学芸文庫・絶版)。前々から読んでみたかったものの、Amazon中古でも高騰しており、古書店など回ってみても、まったく見かけなかったので、まさかフリマで、美本が入手できるとは思いませんでした。ありがたや。(ちくま文庫のカバーは日焼けしやすいので美本を探すのが難しい)

ヴァールブルクの業績は、美術史家と云う範疇には収まらぬほど多岐に渡りますが、本書に納められたのは、フレスコ画に散りばめられた占星術イメージの分析、「イタリア美術とフェッラーラのスキファノイア宮における国際的占星術」と、プロテスタント運動の旗手、マルティン・ルターに題を得た、「ルター時代の言葉と図象に見る異教的=古代的予言」と「東方化する占星術」。

個人的には、占星術に否定的だったルターの発言録が興味深く、占星術に対し「実に愉快な絵空事」「あくまで人間の作り物に過ぎぬ」「誰であろうと占星術の予言を信じるよう私を説得することはできない」と、小気味よいほど皮肉を交えて、バッサリ切り捨てています。

デューラーの古代性とスキファノイア宮の国際的占星術 (ヴァールブルク著作集5)

デューラーの古代性とスキファノイア宮の国際的占星術 (ヴァールブルク著作集5)

 

同内容は、現在「ヴァールブルク著作集」にも収録されています。読み通すのも、なかなか骨が折れる内容ですが、美術史的、宗教史的観点から占星術を読み解くのも一興かと。