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ヒューマンデザイン・アナリスト 市川丈夫のBlog

「嫌われる勇気 自己啓発の源流 アドラーの教え」

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

アドラー心理学をテーマにした「嫌われる勇気」を読了しました。昨年末から書店に積んでありましたが、かなりの部数売れているようで、それだけ多くの方が「嫌われる」ことに感心をお持ちなのでしょう……と他人事みたいに書いてますが、勿論僕も関心がございます。

本書は終始、アドラー心理学を語る哲人と、その考えを論破せんとする青年の会話で構成されています。青年は感情的で、自分には価値が無く、世界は酷いところだと思い込んだ硬直した思考の持ち主。その青年が声高に批判するのにもかまわず、穏やかな口調で語り続ける哲人の様は、ひとつの理想的な「傾聴」スタイルかもしれません。

哲人が語る「トラウマは存在せず人生に影響も与えない」「あなたの不幸はあなたが捏造したもの」「すべての悩みは対人関係である」「他人の期待を満たす必要はない」「他人の課題には介入せず、自分の課題には誰一人介入させてはならない」「自分は世界の中心ではない」「他人を叱ることも褒めることもせず、ただ援助をする=勇気づける」といったアドラー心理学の教えは、ひとつひとつを採り上げて記事にしたいほど興味深いテーマです。

 

中でもひとつ挙げたいのは「自分が見方を変えれば世界も変わる」と云うこと。世の中が厳しいとか冷たいと云った感覚は、あくまで自分の主観であったり、真実から目を背けるために捏造された投影に過ぎないと。視界に入っている真実を認めないことで、自ら苦しみや劣等感を生み出してしまっている。しかしその真実を見るには、勇気が要る。それでも勇気を持って、今までのものの見方を変えなければ、人は幸せになれない……と云う辺りでしょうか。

僕もヒューマンデザインのリーディングでは、様々な物の見方でクライアントさんを勇気づけることを心がけています。弱みに見える個性も、見方を変えて強みとして意識していただけるよう努めたり、無理だと思える状況も個性を活かして解決できる糸口を探ったりしております。

 

ただし「トラウマなんてものは無い、それはただの思い込みだ」と一般化するのも問題があるかもしれません。世の中には災害や犯罪に遭われ、重たい心の傷を負った方も大勢いらっしゃるかと思います。そういった方が「私の心の傷は思い込みなんだ。見方を変えれば何とかなるんだ」と考えても、なかなか難しい場合もあるでしょう。

ヒューマンデザイン的に見れば、心の傷=外部からの条件づけを受けやすいかどうか、その影響を溜め込みやすいかどうかにも、個人差があると考えます。無理に「トラウマなんて思い込みなんだ」と考えるよりも「一般的にはそうだとしても、自分の場合はどうなんだろう」と自分を見つめることが大切だと思うのです。そういう意味では、ヒューマンデザインのリーディングにも役立つ一冊でした。

 

ちなみに調べてみたら、アルフレッド・アドラーは1870年2月7日生まれで、実は僕と同じ誕生日。だったらヒューマンデザインで見たらどうなんだろう……と思いチャートを出したところ、どうやら人生の目的も僕と同じようです。この辺り、また後日深く掘り下げてみましょうか。