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ヒューマンデザイン・アナリスト 市川丈夫のBlog

アルボムッレ・スマナサーラ「妬まない生き方」

妬まない生き方

妬まない生き方

 

新刊「妬まない生き方」を購入。著者スマナサーラ長老によれば、仏教は宗教ではないのだとか(神を信仰しているわけではない)。長老ご自身も無神論者であると明言しているあたりが興味深いです。

本書では嫉妬を、スムーズな人間関係を壊すものとしています。嫉妬が起きると、相手のことが気になってたまらず、相手をよく調べようとするあまり、その人に執着してしまうのだとか。あるいは、相手の方が自分より優れていると思い込んでしまい、さらに嫉妬が強まるそうで、そういった心の動きには僕自身も覚えがあります。

ただ、短所が大きく見えてしまうことについては、脳には「ネガティヴ・バイアス(負の偏見)」をかける本能が備わっていると言うあたり、科学的でもあって面白いですね。元々人間は、生き残るためにものごとを悲観的に見るようにできている。人類は「この草は食えるのだろうか?食ったら死ぬんじゃないか?」という懐疑心を発揮したからこそ、安全に生き残る術を取得したわけです。今でも何か製品を作る時には、何万回も耐久テストをしますよね。あれも「万全を期さなければ事故が起きるんじゃないか?」という一種の悲観主義に根付いているわけです。

しかしその本能的な「ネガティヴ・バイアス」のせいで、自分や他人の欠点が気になりすぎてしまう。そこで「ネガティヴ・バイアス」を起動せず、自分や他人の良いところ、今日起きた良いこと、楽しいことに目を向けていくと、自然に怒りや嫉妬が解毒されていくのだとか。CMでやっている「イイトコメガネ」ですな。

無論それは単なるポジティヴ・シンキングではないし、共感してはいけない喜び(犯罪で大金を得る等)もあるとしています。人生には苦も楽もあるというバランス感覚、極端な悲観にも楽観にも偏らない「中道」が大事だと。

もっとも嫉妬より、日常的に湧き出てくる「怒り」をどうするかも大事で、それについては同じくスマナサーラ長老の「怒らないこと」が読みやすくてオススメです。

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)