「すべてを守ろうとする者は、なにひとつ守れない」とは、18世紀のプロイセン王フリードリヒ2世の言ですが、この言葉が結構好きです。
フリードリヒ2世は、フランス、ロシア、オーストリアを相手に七年戦争と呼ばれる戦いを強いられた人。まあ戦争の原因は大半フリードリヒ2世の領土欲にあるんだけど、この人、3方向から攻めてくる3カ国の敵を臨機応変に撃退しつつ、なんとかプロイセンを生き残らせたという部分では軍事的評価が高いのです。
勿論、百戦百勝ではないものの、ひとつふたつ負けた後でもきっちり勝ちを取り返し、トータル的に見れば戦争全体では勝ってしまったという。肉を切らせて骨を断つと云うスタイルが「すべてを守ろうとする者は……」に繋がっているのでしょう。
実際、人生のすべてを守ろうとするのは、あまり感心せんのです。大抵の場合、全部を守ろうとするあまり、捨ててもいいモノに執着し、視野が狭くなったあげく、結局大切なモノを全部失う、なんてこともありますしね。
なぜ急にこんな話を書いているかと云えば、最近、すべてを守ろうとしている人に出会ったので。僕の目から見ると、その人が守ろうとしているのは、今更守る必要の無いモノなんですな。でもどうしても守ろうと必死になり、もっと大切なモノ……周囲の人の信頼を失いつつあるんですよ。そのことに気がついてほしいんですけど、気がつく時って、もう大切なモノを全部失った後なんですよね、大概。