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ヒューマンデザイン・アナリスト 市川丈夫のBlog

加藤諦三「きずな喪失症候群という病」

「他人と上手くつきあえない人」を読了。

本書で言うところの「きずな喪失症候群」というのも、先日から気になっている「5歳児の大人」なわけです。まだきずなを深めていない相手に対しても、いきなり母親のような無条件の愛を求めてしまい、それを拒否されると憎悪に走ってしまう。

僕の経験で言うと、知り合ったばかりの人から原稿を依頼され「じゃあ原稿料はいくらで」と交渉したところ、急にムスッとされ、原稿料を出し渋られたことがあります。僕からすれば、プロの作家に原稿依頼したんだから、原稿料を出すのは当然でしょ、と思う。ところが相手にとっては違ったんですな。いきなり僕を親友だと思い、無償で書いてくれると思ったらしいんです。ところが原稿料を請求されたので「そんな人だとは思わなかった」と勝手に失望し、憤慨したと。まあこういう事案は、イラストレイターさんやクリエイター系の方は結構、経験されたことがあるのではないでしょうか。

恐らくブラック企業の経営者もこういった思考回路の持ち主ですな。「うちの会社に入りたいと言ったのはお前だろう。だったら会社の言うとおりに働け。文句は言うな。退職したいだなんて、入社させてやった恩も忘れやがって」と。でもこれも社員との距離感を間違えてるんですよね。社員は社員。奴隷じゃない。ちゃんと休む権利も持っているし、会社が間違ったことをすれば指摘もします。でもそれが嫌なんですね。自分を最優先にして、文句も言わず無償の愛で奉仕してほしい。それが「5歳児の大人」=きずな喪失症候群であると。

ただ僕自身、数年前まで本書で言う「燃え尽き症候群」気味だったのも事実です。「5歳児の大人」に振り回されても、仕事上のトラブルになるのが嫌だったため、その横暴に我慢して燃え尽きてしまった。そこには、相手に嫌われたくないという心理が働いていたのでしょう。でも「5歳児の大人」には嫌われても問題ないと。そのような人からはさっさと離れるのが吉、と分かったのが2012年の年末でした。あれから3年経ち、じわじわとあの経験が身にしみている今日この頃です……