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作家 ヒューマンデザイン・プロフェッショナル・アナリスト 市川丈夫のBlog

ジョン・グレイ「だからあなたは今でもひとり」

だからあなたは今でもひとり―悲しい別れ、離婚、失恋のあとでもういちど愛を手にいれたいあなたへ (小学館文庫)

だからあなたは今でもひとり―悲しい別れ、離婚、失恋のあとでもういちど愛を手にいれたいあなたへ (小学館文庫)

 

独り者から見れば「大きなお世話だ!」と言いたくなるタイトルですが、原題が「Mars and Venus Starting Over (火星と金星の新たな旅立ち)」なので、そのまま訳したら、それはそれでさっぱりワケワカらん本になりますな。

扇情的なタイトルから、独身に対してああしろこうしろ的な説教本に見えますが、実際には、死別や離婚などによって親しい人を失った方へのセラピー本であり、筆者自身、ヒッチハイク強盗によって父親を失っています。

本書で紹介されている喪失感を癒す手法は、必要なら他人に救いを求め、悲しみにどっぷりと浸かり、完全に治るまで見守る……と云うプロセス。ここでなるほどと思ったのは、心と頭のタイムラグについて。

心のスピードは頭のスピードよりずっと遅い。頭が光なら、心は音だろう。頭は準備ができて先に進みたがっても、心のほうにはかなりの時間が必要なのだ。心の傷をうまく癒すには、このスピードの違いを認識しておくことが必要である。

よく「頭では分かっているけど、気持ちが追いつかない」などと言いますが、まさにそのメカニズムを見据えて、心が癒されるまで時間をかけるのが大切だと。

また心では悲しみを感じていても、頭では理屈で考えてしまい、「もっと強くなろう」「悲しんでいる場合じゃない」などと悲嘆を否定し、癒しのプロセスをすっ飛ばして前に進んでしまい、心に残った傷のせいで、また同じような喪失感を味わってしまう……と云うあたりにも納得。

ちなみに原題の「火星と金星~」については、同著者による「男は火星から、女は金星からやってきた」と云う著書もあり、男女には、まるで火星人と金星人ほどかけ離れた側面があり、それを理解し合うことが大切……と、男女関係を説いています。

こちらも興味深い内容ですが、「女性へ愛情を贈る98のアプローチ」なる箇所では、「一日最低二回は愛してると言う」から「トイレの便座は必ず下げておく」まで、男性が心がけるべき項目がびっしり並んでいて、ちょっと目眩が……いや、目眩とかしてちゃいかんのか。そして本書を、故・大島渚監督が訳されていると云う事実もちょっと驚き。