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ヒューマンデザイン・アナリスト 市川丈夫のBlog

岡野守也「仏教とアドラー心理学」

仏教とアドラー心理学―自我から覚りへ

仏教とアドラー心理学―自我から覚りへ

 

岡野守也氏の「仏教とアドラー心理学」を読了。本書では、先に読んだ「原始仏典」的なブッダの智慧と、「勇気づけ」で知られるアドラー心理学の統合を目指しています。

心理学者アルフレードアドラーは幼い頃、病弱だったことから、どうしたら劣等感(あるいはその裏返しである優越感)を拭えるかを模索しましたが、ブッダも同様に、老いや死の苦しみを見て、どうすれば人が救えるかを模索しました。

ブッダは教えを伝える場合、相手の性格に合わせて言葉を選ぶなど、相手が幸せになれるかどうかを第一として、説法を行ったと言います。その「対機説法」と呼ばれる手法は、他人を「勇気づけ」る場合にも有効であろうと。

たしかに自分がヒューマンデザインのリーディングをする場合でも、最終的に相手が幸せになれるか、と云うのはひとつのポイントで、なるべく問題を解決できればと思っています。せっかくリーディング料金をいただくことだし、リーディングが終わった後は、何かしら前向きな満足感を得て欲しいと思うのです。そのためには、お相手が何をもって癒されるのかを考える必要があり、そういう意味でも、ブッダとアドラーの手法を学ぶことは、とてもためになりますね。

また岡野氏は、ブッダとアドラーを「傷ついた癒し手」と評しています。ブッダは死の苦しみに、アドラーは生来の病弱さに悩んだけれど、それぞれその経験を活かして、他者を救う癒し手となりました。氏は、そういった苦しみを克服した人は他人を癒せる傾向があると書いています。

しかし現実には『私は苦しんだ経験があるから他人の苦しみも判る』と言う人ほど、カウンセリング技術を学ぶ際、自分自身の経験に執着してしまい、一般的な心理技法を否定する場合もあるそうで、このあたりなかなか難しいと思います。 そこで有用なのが、先に述べた「対機説法」で、まず相手の幸せありき、と考えられるかどうか。

自分の苦しみと、相手の苦しみは違う。

自分の幸せと、相手の幸せも違う。

それを念頭に置いて、相手の幸せを第一にできるかどうか。僕自身も、相手に合わせて「勇気づけ」ることを心がけようと思います。

アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)

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