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ヒューマンデザイン・アナリスト 市川丈夫のBlog

フィル・スタッツ&バリー・マイケルズ「ツールズ The Tools」

ツールズ

ツールズ

 

前々から気になっていた「ツールズ」を読了。サブタイトル「Transform Your Problems into Courage, Confidence, and Creativirty」を訳すとすれば「あなたが抱える問題を、勇気や自信、創造性に変容させよう」でしょうか。人が成長するために障壁となる心理的要因に、どうやって向き合うかを、5つのツール(方法論)として説いた一冊です。

最初に紹介されているツールは「苦しみを望む」。本書では、なにか恐怖や苦しみを感じることがあれば、それは成長のために乗り越えるべきものだと云うサインであり、積極的にそれに取り組む必要があると促しています。これはバンジージャンプに代表される「通過儀礼」そのもので、怖いと思うものに挑んでこそ成長があると。

ヒューマンデザインで分析すると、僕の中心にはこの「通過儀礼」のような、勇気をもって新たな分野に飛び出すと突然変異的に進化すると云う力があるそうです。それを知って以来、緊張したり萎縮する状況があると「ああ、これ通過儀礼だ、これバンジージャンプ」と思って、むしろ前のめりに飛び込んでみるクセをつけています。で、飛び込んでみると意外とすんなり事が運んで、後から振り返ると、あの緊張や萎縮はなんだったのか……と思えたり。まあ、それこそがイニシエーションの力が発揮された結果かもしれません。

この逆に、緊張も萎縮もしない快適な場所は「コンフォートゾーン」と呼ばれ、居心地は良いのだけれど、ある種、人生のぬるま湯であり、そこには成長も無いと。そのぬるま湯から飛び出す勇気を育てるには、

たしかな未来という幻想を捨てる必要がある。(p63)

……のだとか。ぬるま湯に居れば幸せ、飛び出したら失敗するかもしれない……という考えは、あくまで先入観が生み出した幻想。ぬるま湯に居続けたために成長の機会を逸して手遅れになるかもしれず、そこから飛び出しても意外とうまくいったりするもので、たしかな未来なんてないと。本書でも、

前進しようと全力を傾けている。するとある日突然、人やチャンスが魔法のように現れ、その後あれこれと力を貸してくれるようになるのである。(p54)

と、「宇宙=高次の力(ハイヤーフォース)」が助けてくれることを示唆しています。

そう、本書は一見ビジネス系自己啓発書に見えますが、実は心理学と精神世界にまたがったボーダーレスな内容になっています。もっとも書店さんの自己啓発書コーナーに行くと、本書のような「隠れ精神世界系」の本はたくさんあり、むしろ心理学などの現実論を含んでいる分、受け入れやすかったり。僕自身、ヒューマンデザインと云うツールを使って、クライアントさんの現実的な問題に取り組んでいるので、本書のような曖昧な立ち位置でも、しっくりきますね。

二番目以降のツールもうなずける内容で、個人的にはかなり使える方法論だと感じました。 しばらく手元に置き、何度も読み返すつもりです。良書。