クリシュナムルティの瞑想録―自由への飛翔 (mind books)
- 作者: J.クリシュナムルティ,大野純一
- 出版社/メーカー: 平河出版社
- 発売日: 2000
- メディア: 単行本
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久しぶりに「瞑想録」を再読しました。 幼くして神秘教団のリーダーとして見いだされながらも、自らそれを解散し、訪ねてくる者には誰にでもその教えを伝えるようになった後の対話集。本書に収録されたクリシュナムルティの言葉は、相談者を突き放すようにも読め、少々とっつきにくい感じも受けます。
しかしクリシュナムルティのヒューマンデザイン・チャートを見てみると(公式テキストに掲載されている)、なるほど、確かに他人をはねつけるようなデザインで納得したり。他にも「発する言葉は天才か奇人変人」「自らの原理に合わないものは拒絶する」など、いかにもな特徴が見られます。
何より興味深いのは、クリシュナムルティ自身の課題が「世俗に入っていく」だということ。実際、閉鎖的な教団を解散し、本書中にあるように、主婦が来ようが軍人が来ようが、セックスやドラッグのような世俗的な話題だろうが、拒むことなく教えを伝えているので、きっちり人生の課題をやりきった人なんだなあと感じています。
それに対して、どこの世界にも厄介な人はいるものです。「自分は高尚な教えを学んでいる」「自分は高邁な理想を追求している」と思うあまり、世間一般の人を小馬鹿にするような人が。たとえ娯楽のような趣味であっても「もっと真剣にやれ」「お前らはなってない」と言い出す人とかね。
でもそういう人こそ、本当は一般社会に入っていかなきゃいけない。その人から見れば、「世俗に下りていく」感覚なのだろうけど、実際には人間に上下はなく、自分も周囲の人も同じ地面に立つ、同じ人間だと気づくことが大切なんだろうなあと。農家のおじさんでも、キャバクラ勤めのお姉さんでも、鼻水たらした幼稚園児でも、殺人罪で服役中の人でも、すべての人に神性を見いだせるかどうか……そんなことも考えた一冊でした。