Twitterで「そろそろヒューマンデザインの人物分析、再開しようかな」と呟いたところ、いくつかリクエストを頂戴しました。その中からまずは、第二次大戦中「砂漠のキツネ」と称されたエルヴィン・ロンメル元帥を選択。
ロンメルは、1891年11月15日ドイツ、ハイデンハイム出身。幼い頃は病弱ながらも、ドイツ帝国陸軍に入隊。第一次大戦時、イタリア戦線で山岳部隊を指揮し、プール・ル・メリット勲章を受勲。戦間期に歩兵学校の教官などを務めた後、ヒトラーの護衛部隊長となり、第二次大戦のフランス戦ではドイツ第7装甲師団を指揮して、その神出鬼没ぶりから「幽霊師団」と呼ばれる活躍を見せました。さらに北アフリカ戦線で要衝トブルクを落として元帥に昇進し、英雄的存在に。しかし北アフリカでの敗退後は、フランス・ノルマンディ戦線で負傷し、ヒトラー暗殺事件に関与したと疑われて服毒自殺……というのが、おおまかな人生です。名将・悲将と呼ばれる一方、過剰な自己アピールなど性格のアクの強さも伝わる人物でもあります。
ロンメルの出生時間は不明ですが「忙しい働き者=マニフェスティング・ジェネレイター」タイプなのは確かです。「戦車は射撃しながら前進し強行突破せよ」と命じ、機動戦を得意としたあたり、いかにもエネルギーに満ちあふれた人らしく感じますね。
社会的な役割も定かではありませんが、問題を解決する「救世主」として期待された可能性が高いです。まさに英雄的軍人らしいプロファイルですが、結果を出さないとキリストのように磔(はりつけ)にされる運命なので、悲劇的な末路とも一致しています。
そして出生時間不明とは言え、この日生まれたロンメルが必ず持っていたであろう重要な個性は「他人に指図されず、やりたいことに没頭している時、周囲を魅了して力づける」「頭で考えたことを噛み砕いて表現し、組織を効率的にレベルアップさせる」です。この「他人に指図されず~」という個性は、自分勝手でちょうどいいぐらいだと言われています。『俺はこうしたいからお前が合わせろ』みたいな。実際ロンメルは戦場でも自分勝手に行動することを好み、同僚や部下から反発されたことも伝えられています。
この個性は、間違った方向に突っ走る場合が多く、ガイド役が必要でもあります。ただロンメルの場合、自分勝手さが直観に支えられているうえ、自分自身でガイドする能力も持ち合わせているため、利己的に振る舞っても成功してしまうし、カッコ良く見えてしまうんですね。
一方「頭で考えたこと~」という個性は、作家向きとも言われますが、実際ロンメルは、第一次大戦での経験や戦術を分かりやすい挿絵付きの「歩兵攻撃」なる本にまとめて出版し、50万部のベストセラーとなっています。歩兵学校でも、当時の最新鋭機材を使って講義をするなど、わかりやすく伝えることで軍という組織全体をレベルアップさせる立場にいましたから、なるほどなあと。
またロンメルの人生中間期の魂の使命が「不安定な時期に人間の野蛮性と出会い、それへの恐れから安定と一攫千金を求める」なんですね。ロンメルの人生中間期は、1931年11月21日~1938年11月21日と出ていますが、「歩兵学校」を出版して一攫千金を手にしたのが、この期間(1937年)というのも興味深いです。またこの期間、ドイツではナチ党が最大与党となり、ヒトラーが政権を掌握した時期でもあるので、不安定・野蛮性といった言葉とも繋がりそうです。
そしてロンメルの人生開花期は1942年8月7日にピークを迎えるのですが、この日は北アフリカでロンメルと戦う予定だったイギリス軍のゴット将軍が飛行機事故で亡くなった日。それと入れ替わる形で翌日、宿敵モントゴメリー将軍がイギリス第8軍に着任したわけですから、奇縁だなあと。
- 作者: ジェイムズヒルマン,James Hillman,鏡リュウジ
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ちなみに原型心理学者ジェイムズ・ヒルマンもロンメルを採り上げていますが「魂のコード」p43で「ベルリン、フランス、ルーマニア、イタリア、北アメリカでその軍の男たちを鼓舞した」とあるのは「北アフリカ」の誤訳ですね。さすがのロンメルも合衆国本土には攻め込んでませんから(^_^;)