- 作者: マーサスタウト,Martha Staut,木村博江
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/10/04
- メディア: 文庫
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心理学者マーサ・スタウトの「良心を持たない人たち」を読了。本書で採り上げているのは、人類の4%はいると言われている、良心の欠如が見られる社会病質者(ソシオパス)です。25人に1人ですから、実は結構いますし、遭遇された方も多いと思います。僕自身も本書を読みつつ「うわ、あの人だよこれ……」と心当たりがあったり。
彼らの外見はいたって普通。むしろ目立たないくらいですが、実は他人を騙し、支配し、衝動的かつ攻撃的で無責任なうえ、散々好き勝手に振る舞いながらも、良心の呵責を感じないという人物です。周囲がどれだけ迷惑しようが、気に病むことはなく、本人にも不快感が無いため、治療やカウンセリングを受ける気も無し。もしも叱ったり意見しようものなら、逆ギレしたり、泣き落としで同情を買ったり、こちらに責任があるような論理を展開したりと、様々な心理戦で抵抗してくるので、周囲の人たちからしたら、いったいどう対処すればいいのよと嘆きたくなりますわな。まあ、その人に良心が無いと確定したなら、さっさと縁を切るのが一番ということで。
ただ、そうなると「結局、良心の無い奴が好き勝手やって得をして、マトモな奴はバカを見る」と絶望してしまいがちですが、さにあらず。最終的に良心の無い人々が幸せになれるか、と問われれば、やはりその人生は破綻するだろうと著者は予測していますし、僕もそう感じています。もちろん、良心の無い人々は、うまいことやって得をしますが、それはあくまで短期的な目先の利益を得たに過ぎず、長い目で見ると破綻に繋がる行為を重ねているわけです。戦闘に勝って、戦争に負ける、みたいなもんですかね。良心を持たない人たちは、大局観が無いため「それやっちゃったら、今は良いけど、後々困るぞ」ということも、やらかしていくのです。それがカルマ(業)のように積もり積もって、いつか自分に返ってくる……と思うのは、東洋的・仏教的でしょうか。